![[ WE ] Maurizio Cattelan](http://seoulshopper.com/cdn/shop/articles/maurizio-cattelan-seoul-exhibition-leeum-museum_9_cc0ed15e-f038-4ad6-bc0c-a40cd506b3fe_{width}x.jpg?v=1744949072)
[ WE ] Maurizio Cattelan

ソウルのリウム美術館で開催されたマウリツィオ・カテランの「WE」展は、1990年から現在までの38作品が展示されていて、2011年にニューヨークのグッゲンハイム美術館で行われた回顧展以来の大規模な展覧会なんです。ユーモアと風刺に満ちた作品たちに囲まれて、見ている間ずっと考えさせられる時間でした。
MAURIZIO CATTELAN
1960年イタリア生まれのマウリツィオ・カテランは、宗教や政治、社会、そしてアートそのものに対して鋭い風刺を投げかける彫刻家・ビジュアルアーティストです。ユーモアと違和感の狭間にある彼の作品は、観る人に「当たり前」を問い直す機会を与えてくれます。
Shadow / 2023
Him / 2001
- Platinum silicone, fiberglass, human hair, clothing, shoes
最初は、きちんと制服を着てお祈りする少年かと思ったんです。でも、近づいて顔を確認した瞬間、その正体がヒトラーだと分かって…言葉を失いました。無垢さと邪悪さが同居するようなこの作品は、不快感すら伴いながらも目が離せず、強烈な印象を残しました。
Secrets / 1998
- donkey, dog, cat, crow bone
Breath / 2021
- Carrara Marble
Family / 1998
- Stuffed donkey, dog, cat, and crow
All / 2007
- Carrara Marble
この大理石の彫刻には、9人の亡くなった人物が表現されていますが、誰なのかはあえて明かされていません。見つめていると、静かに押し寄せてくる悲しみや記憶の重みに胸を打たれます。見終わったあとも心の中にずっと残り続けるような、深く響くインスタレーションでした。
Comedian / 2019
- Banana, tape
カテランの有名なバナナ作品、ご存知ですか?壁にガムテープで貼り付けられたあのバナナです。ある日、大学生が「お腹がすいてたから」と言ってそのバナナをもぎ取って食べてしまい、その様子が大きな話題になりました。けれども美術館のスタッフは意外と冷静で、実はそのバナナはもともと3日ごとに交換する予定だったそうです。
実はこの「食べられる事件」は今回が初めてではなく、ニューヨークの展示でも似たようなことがあったんです。もしかすると、バナナを食べるという行為そのものが、すでに作品の一部になっているのかもしれませんね。
Bidididobidiboo / 1996
- Taxidermied squirrel, ceramic, Formica, wood, paint, steel
LA Nona Ora / 1999
- Silicone rubber, human hair, clothing, crucifix, accessories, stone, carpet
カテランの中でも特に議論を呼んだ作品のひとつがこちら。教皇ヨハネ・パウロ2世が隕石に打たれて倒れている姿を表したインスタレーションです。一見してカトリックに対する強烈な批判だと分かるのですが、実際に作品の前に立つと、教皇の表情があまりにも穏やかで驚きました。シーン自体は重いのに、不思議とクスッと笑ってしまうような、皮肉と静けさが共存する作品でした。
Charlie Don't Surf / 1997
- Platinum silicone, paint, school desks, chairs, steel, clothes, shoes, pencils
Untitled / 2018
展覧会の中でも特に人気だったのが、システィーナ礼拝堂を1:5スケールで緻密に再現した作品です。内部に入るために長い列ができていましたが、その時間をかけるだけの価値は十分にありました。中に足を踏み入れた瞬間、その細部の美しさに圧倒されました。
マウリツィオ・カテランの「WE」展は、ただのアート展示ではありません。鋭い風刺やダークユーモア、そして社会への痛烈な批評を通じて、宗教や政治、そして芸術そのものを問い直す体験なのです。アートが好きな方はもちろん、ちょっと変わった刺激を求めている方にも強くおすすめしたい展示です。ソウルにいるなら、絶対に見逃さないでくださいね。
Address : 60-16 Itaewon-ro 55-gil, Yongsan-gu, Seoul
Tel : +82-2-2014-6900
Operation Hours : Tuesday-Sunday : 10:00 - 18:00 (Monday closed)
Website : www.leeum.org/exhibition
Admission Fee : Free (Online reservation required)
Source : https://blog.naver.com/wonnyrang/223110163801
Writer : wonnyrang
Special thanks to wonnyrang
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